【名古屋市天白区植田】痛み改善に筋トレは必要?|運動の重要性【理学療法士が解説】
名古屋市天白区植田にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ) パーソナルトレーニング&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
詳細はこちら → Physio Conditioning Lab.
はじめに
「腰や膝、肩などに痛みがあるけれど、筋トレをしても大丈夫?」
「痛みがあるなら、安静にしていた方がいいのでは?」
と疑問に感じる方は少なくありません。
実際、痛みがあると身体を動かすことが怖くなり、運動を避けてしまうことがあります。
しかし、すべての痛みに対して安静が必要というわけではありません。
症状や原因を確認したうえで、適切な運動や筋力トレーニングを取り入れることが、痛みの改善や身体機能の回復につながる場合があります。
痛みがあるときに筋トレをしても大丈夫?
結論からいうと、痛みがあるからといって必ず筋トレを中止する必要はありません。
ただし、「痛みを我慢してトレーニングを続ける」という意味でもありません。
痛みの場所、痛みが出る動作、痛みの強さ、発症した時期、身体の動き、筋力などを確認し、その人に適した運動方法や負荷を選択することが重要です。
例えば、膝が痛い方がスクワットをするときでも、運動を完全にやめるのではなく、椅子を使って深さを浅くしたり、回数を減らしたりすることで実施できる場合があります。
また、腰痛がある場合も、いきなり高負荷のトレーニングを行うのではなく、体幹や股関節を使った低負荷の運動から始め、身体の状態に合わせて徐々に負荷を高めていく方法があります。
重要なのは、「痛いか、痛くないか」だけで運動の可否を判断するのではなく、症状と身体機能を総合的に評価することです。
なお、強い痛みが突然出た場合や、進行するしびれ・筋力低下、発熱、外傷後の強い症状などがある場合には、自己判断で運動を続けず、医療機関での評価を優先してください。
痛み改善に運動が重要といわれる理由
痛みが続くと、「動かさない方が安全」と考えて活動量が低下することがあります。
しかし、活動量が低下すると、筋力や持久力、関節を動かす能力、バランス能力などが低下し、さらに身体を動かしにくくなることがあります。
その結果、少し動いただけでも疲れたり、特定の部位に負担が集中したりするなど、痛みと活動量低下の悪循環につながる可能性があります。
運動には、この悪循環を断ち切る役割があります。
筋力トレーニングによって筋力を高めれば、日常生活の動作を行いやすくなります。
また、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることで、体力や活動量の維持・向上にもつながります。
さらに、運動を通して「痛みがあっても安全に動ける」という経験を積むことも重要です。
痛みがあると、身体をかばうことで動作が小さくなったり、特定の関節や筋肉に負担が集中したりする場合があります。
適切な運動によって身体の使い方を練習することで、痛みそのものだけでなく、痛みによって変化した動作や身体機能にもアプローチできます。
ただし、筋トレをすればすべての痛みが改善するわけではありません。
痛みには、筋力だけでなく、関節の可動性、神経の状態、身体の使い方、活動量、睡眠やストレスなど、さまざまな要因が関係します。
そのため、理学療法士の視点では「痛い場所の筋肉を鍛える」という単純な考え方ではなく、なぜ痛みが出ているのか、どの動作で症状が変化するのか、身体のどの機能が不足しているのかを確認したうえで運動を選択することを重視します。
痛み改善において大切なのは、痛みがあるから動かないことでも、痛みを我慢して無理に鍛えることでもありません。
自分の身体の状態に合った運動を選び、無理のない範囲から少しずつ身体を動かしていくこと。
これが、痛みを改善しながら「動ける身体」を取り戻していくための重要な考え方です。
痛みが起こる原因は筋力不足だけではない
痛みがあると、「筋肉が弱くなったから痛いのでは?」と考える方は少なくありません。
実際に、筋力低下や筋持久力の低下が身体への負担を増やし、痛みにつながるケースはあります。
しかし、痛みの原因を筋力不足だけで説明することはできません。
痛みは、筋肉・関節・神経など身体の組織だけでなく、姿勢や動作、運動習慣、睡眠、ストレス、過去の怪我や手術など、さまざまな要素が関係して生じます。
そのため、痛みを改善するためには「痛い場所の筋肉を鍛える」だけではなく、現在の身体の状態を総合的に確認し、何が負担になっているのかを考えることが重要です。
筋力低下や筋持久力低下
筋力が低下すると、日常生活や運動で必要な動作を行う際に、身体を十分に支えられなくなる場合があります。
例えば、膝の痛みがある人では、太ももやお尻周囲の筋力が低下していることで、立ち上がりや階段、スクワットなどの動作で身体を安定させにくくなることがあります。
また、最大筋力だけでなく、筋持久力の低下も重要です。
最初は問題なく動けても、長時間歩いたり、繰り返し作業をしたりすると姿勢や動作が崩れ、特定の部位に負担が集中することがあります。
ただし、「筋力が弱い=痛みの原因」と単純に判断することはできません。
痛みがあることで活動量が減り、その結果として筋力が低下しているケースもあります。
つまり、筋力低下が痛みの原因になる場合だけでなく、痛みによって筋力が低下する場合もあるということです。
関節の可動性や身体の柔軟性
関節が十分に動かないことも、身体の負担に影響します。
例えば、足首の動きが制限されている場合、しゃがむ、階段を下りる、歩くといった動作で、膝や股関節など別の関節が大きく動かなければならなくなることがあります。
同様に、股関節や胸椎の動きが制限されることで、腰や肩などに必要以上の動きが求められるケースもあります。
ただし、身体が硬いこと自体が必ず痛みを引き起こすわけではありません。
重要なのは、「どの関節が、どの方向に、どの程度動く必要があるのか」という視点です。
単純に柔軟性を高めるのではなく、実際の動作の中で必要な可動性を確認することが大切です。
姿勢や動作の問題
姿勢や身体の使い方も、痛みと関係する重要な要素です。
例えば、長時間のデスクワークで頭部が前に出た姿勢を続けていると、首や肩周囲の筋肉に負担がかかることがあります。
また、スクワットや階段動作で膝が内側に入りやすい、腰を過度に反って動く、片側に体重をかける癖があるなど、特定の動作パターンを繰り返すことで一部に負担が集中することもあります。
ただし、「姿勢が悪いから痛い」と断定することも適切ではありません。
同じ姿勢でも痛みが出ない人はいますし、いわゆる「良い姿勢」を意識しすぎることで、かえって身体が緊張してしまうこともあります。
重要なのは、姿勢そのものを完璧にすることではなく、同じ姿勢や動作を長時間続けず、状況に応じて身体を動かせる能力を高めることです。
運動不足や活動量の低下
運動不足も痛みと関係することがあります。
身体を動かす機会が減ると、筋力や筋持久力だけでなく、心肺機能、関節を動かす機会、バランス能力なども低下しやすくなります。
さらに、痛みがあるからといって必要以上に動かなくなると、
「痛いから動かない」
↓
「体力・筋力が低下する」
↓
「少し動いただけで疲れる」
↓
「さらに動かなくなる」
という悪循環につながる可能性があります。
そのため、痛みがある場合でも、症状に合わせて安全にできる範囲から活動量を維持・改善することが重要です。
怪我や手術後などの身体の変化
過去の怪我や手術も、現在の身体の状態に影響することがあります。
例えば、膝の手術後に筋力が低下した場合、筋力そのものだけでなく、関節の動き、左右差、バランス、歩き方などにも変化が生じることがあります。
また、怪我を経験した後に「また痛くなるのではないか」という不安から、無意識に患部をかばう動作を続けているケースもあります。
このような場合、単純に筋力トレーニングを増やすだけでは十分ではありません。
可動域・筋力・バランス・動作・痛みの反応などを確認し、現在の身体に合わせて運動内容を調整することが重要です。
このように、痛みは一つの原因だけで発生するとは限りません。
筋力低下、柔軟性、姿勢、動作、活動量、過去の怪我などが複数組み合わさっていることもあります。
だからこそ、痛み改善のための筋トレでは「痛い場所を鍛える」という考え方だけではなく、なぜその動作で痛みが出るのか、身体のどこに負担が集中しているのか、何が不足しているのかを評価することが重要です。
痛み改善に筋トレが重要な理由
痛みがあると、「筋トレをするとさらに痛くなるのでは?」と不安になる方も多いと思います。
しかし、痛みの種類や身体の状態を適切に評価したうえで行う運動・筋力トレーニングは、痛みを抱える方の身体機能や日常生活を改善するための重要な手段の一つです。
もちろん、筋トレをすれば必ず痛みがなくなるわけではありません。
痛みには、筋力だけでなく、関節の状態、神経、動作、活動量、心理的要因などさまざまな要素が関係します。
そのため重要なのは、「痛いから筋トレをする」のではなく、現在の身体に不足している機能を評価し、その人に必要な運動を適切な負荷で行うことです。
筋力を高めて身体を支える能力を向上させる
筋力トレーニングの大きな目的の一つは、身体を支え、動かすための能力を高めることです。
私たちは、立つ、歩く、階段を上る、椅子から立ち上がる、物を持つといった日常動作の中で、常に筋肉を使っています。
例えば、椅子から立ち上がる際には、太ももやお尻などの筋肉が働きます。
これらの筋力が低下していると、手を使って立ち上がったり、身体を大きく前に倒したりするなど、別の方法で動作を補うことがあります。
また、筋力が十分にあることで、動作中に身体を安定させやすくなります。
ただし、「筋力を高めれば痛みが治る」という単純な話ではありません。
重要なのは、その人の生活や動作に必要な筋力を獲得することです。
例えば、運動をする人と、日常生活で長時間歩くことを目標とする人では、必要となる筋力やトレーニング内容は異なります。
日常生活で必要な動作能力を高める
痛み改善では、筋力そのものだけでなく、実際の生活で身体を使えるようになることが重要です。
例えば、膝に痛みがある場合、「膝を伸ばす筋力」を高めるだけで終わるのではなく、立ち上がり、階段、歩行、しゃがむ動作などにつなげていく必要があります。
腰痛の場合も、体幹の筋力だけを鍛えるのではなく、物を持つ、立ち上がる、歩く、長時間座るといった実際の生活動作を考えることが大切です。
つまり、筋トレの目的は「筋肉を強くすること」だけではありません。
筋力を日常生活で使える身体機能へつなげることが重要です。
そのためには、筋力トレーニングと実際の動作練習を組み合わせることが効果的な場合があります。
運動不足による身体機能の低下を防ぐ
痛みが続くと、「できるだけ動かさないほうがいい」と考えて活動量が減ってしまうことがあります。
急性期の怪我などでは一定の安静や保護が必要な場合もありますが、必要以上に身体を動かさない状態が長期間続くと、筋力や筋持久力、身体活動能力が低下する可能性があります。
すると、以前は問題なくできていた動作でも疲れやすくなり、少し動いただけで痛みや疲労を感じるようになることがあります。
その結果、
痛い → 動かない → 体力が落ちる → 動くことがさらに大変になる → さらに動かなくなる
という悪循環が起こることがあります。
筋力トレーニングは、この悪循環を断ち切るための手段の一つです。
もちろん、最初から高重量のトレーニングを行う必要はありません。
自重運動や軽い負荷から始め、身体の反応を確認しながら徐々に負荷を高めていくことが大切です。
痛みに対する不安を減らし、活動範囲を広げる
痛みが長く続くと、「動いたらまた痛くなるかもしれない」「この動作はやってはいけないのでは?」という不安が強くなることがあります。
すると、本来できる動作まで避けてしまい、活動範囲が狭くなることがあります。
適切な筋力トレーニングによって、「この動作なら問題なくできる」「以前より長く歩ける」といった身体的な成功体験を積み重ねることは、身体を動かす自信につながります。
もちろん、強い痛みを我慢して運動することが目的ではありません。
痛みの状態を確認しながら、できる動作を少しずつ増やしていくことが重要です。
例えば、階段が不安な方であれば、まずは安全な環境で下肢の筋力やバランス能力を高め、徐々に実際の階段動作につなげていくといった方法が考えられます。
このように、筋トレは身体的な能力だけでなく、「動ける」という自信を取り戻すための手段にもなります。
再発予防につながる身体づくりを行う
痛みが改善した後も、以前と同じ生活習慣や身体の使い方を続けていれば、再び同じような問題が起こる可能性があります。
そのため、痛みがなくなった時点をゴールにするのではなく、痛みが起こりにくい身体機能を維持・向上させることも重要です。
例えば、膝痛が改善したのであれば、下肢筋力だけでなく、片脚で身体を支える能力やスクワットなどの動作能力を高めることが考えられます。
腰痛であれば、体幹だけに注目するのではなく、股関節の動き、下肢の筋力、持久力、日常生活での活動量などを総合的に考える必要があります。
また、再発予防では筋トレだけでなく、体重管理、睡眠、仕事中の姿勢や活動量、運動習慣なども重要です。
したがって、痛み改善における筋トレの役割は、単純に「痛みを消すために筋肉を鍛える」ことではありません。
身体を支える能力を高め、日常生活で動ける身体をつくり、活動量を維持し、動くことへの自信を取り戻し、将来的な再発リスクを減らすための身体づくりを行うことにあります。
だからこそ、痛みがあるからといって一律に筋トレを避けるのではなく、現在の症状や身体機能を評価したうえで、「何を、どの程度、どのような方法で行うのか」を考えることが大切です。
痛みがあるときはどんな筋トレをすればいい?
痛みがある状態で筋トレを行う場合、重要なのは「どの筋肉を鍛えるか」だけではありません。
現在の痛みの状態や身体機能を確認し、無理のない負荷から始め、身体の反応を見ながら段階的に運動を進めることが大切です。
「痛みがあるから筋トレはできない」と考える必要はありませんが、反対に「筋力をつければ痛みがなくなる」と考えて、痛みを我慢しながら高負荷のトレーニングを行うことも適切ではありません。
痛み改善を目的とする場合は、身体の状態に合わせて運動内容を調整することが重要です。
痛みの原因と身体の状態を評価する
まず行いたいのが、なぜ痛みが出ているのか、どのような動作で症状が変化するのかを確認することです。
例えば、膝が痛い場合でも、歩行で痛いのか、階段で痛いのか、しゃがむと痛いのか、長時間座った後に痛いのかによって、考えるべき身体の問題は異なります。
腰痛でも、前屈で症状が出る人、反る動作で出る人、長時間座っていると出る人、歩くと出る人などさまざまです。
そのため、単純に「腰痛だから腹筋」「膝痛だからスクワット」というように、症状だけでトレーニングを決めることはおすすめできません。
理学療法士が身体を見る場合には、痛みの部位や程度だけでなく、関節可動域、筋力、筋持久力、左右差、バランス能力、姿勢、動作パターン、日常生活での活動量などを総合的に確認します。
また、強い外傷後の痛み、急激に悪化する症状、発熱を伴う痛み、進行するしびれや筋力低下などがある場合は、筋トレよりも医療機関での評価を優先する必要があります。
低負荷の運動から始める
痛みがあるときは、最初から高重量のスクワットや強度の高いトレーニングを行う必要はありません。
まずは、自重運動や軽い負荷で身体を動かすことから始める方法があります。
例えば、膝の痛みがある場合には、痛みの状態に応じて椅子からの立ち上がりや浅いスクワットなどから開始することが考えられます。
腰痛であれば、デッドバグやバードドッグなど、比較的負荷を調整しやすい体幹トレーニングを取り入れる方法があります。
股関節周囲の筋力が不足している場合には、ヒップリフトやヒップアブダクションなどから始めることもできます。
重要なのは「簡単な運動をずっと続ける」ことではありません。
現在できる負荷からスタートし、身体が適応してきたら少しずつ負荷を高めることがポイントです。
最初は10回程度しかできなかった運動が、痛みや疲労をコントロールしながら15回、20回とできるようになったり、同じ回数でも負荷を少し上げられるようになったりすることが、身体機能の改善につながります。
痛みが強くならない範囲で運動量を調整する
痛みがある人の筋トレでは、「痛みが完全にゼロになるまで運動してはいけない」と考える必要もありません。
一方で、痛みを強く我慢して運動を続けることも避けるべきです。
重要なのは、運動中の症状だけでなく、運動後から翌日までの身体の反応を確認することです。
例えば、運動中は問題がなくても、数時間後や翌日に痛みが大きく悪化するのであれば、運動量や種目、フォームなどを見直す必要があります。
反対に、軽い違和感があっても、その後に症状が落ち着き、日常生活への悪影響がないのであれば、運動を継続しながら徐々に身体を慣らしていく方法が適している場合もあります。
そのため、「痛みがあるか、ないか」だけで判断するのではなく、
どの運動で症状が出るのか
どの程度の負荷なら問題ないのか
運動後に症状がどう変化するのか
翌日の生活に影響があるのか
といった視点で確認することが重要です。
筋力だけでなく柔軟性や身体のコントロールも改善する
痛み改善のためのトレーニングでは、筋力だけに注目しないことも大切です。
例えば、股関節の動きが制限されている状態で下半身の筋トレだけを行っても、動作の問題が十分に改善しない場合があります。
そのため、必要に応じてストレッチや関節可動域の改善、バランストレーニング、身体を適切に動かすための運動なども組み合わせます。
特に重要なのが、筋肉を強くすることと、その筋肉を適切なタイミングで使えることは別であるという点です。
例えば、脚の筋力が十分にあっても、片脚立位で身体が大きく傾く、スクワットで身体が左右に偏る、歩行中にバランスを崩すといった問題があれば、筋力以外の要素も考える必要があります。
したがって、筋力・柔軟性・バランス・身体のコントロールを総合的に高めることが、より実用的な身体機能の改善につながります。
最終的には日常生活や運動の動作につなげる
筋トレの最終的な目的は、「トレーニング種目の回数を増やすこと」ではありません。
痛みを気にせず、必要な日常生活や趣味、運動などの活動を行える身体をつくることが重要です。
例えば、膝痛の方であれば、筋力トレーニングで下肢の能力を高めた後に、立ち上がり、階段、歩行、しゃがむ動作などへ段階的につなげていきます。
腰痛の方であれば、体幹トレーニングだけで終わらず、物を持つ、床から物を拾う、長時間立つ、歩くなど、実際の生活で必要となる動作へ進めていきます。
運動をする方であれば、最終的には走る、跳ぶ、切り返す、投げるなど、必要な動作へ段階的に戻していく必要があります。
このように、痛みがあるときの筋トレは、「痛い場所を鍛える」という単純なものではありません。
現在の身体の状態を評価し、低負荷から始め、痛みや疲労の反応を確認しながら運動量を調整し、筋力だけでなく柔軟性や身体のコントロールも改善していく。
そして最終的には、日常生活や運動で必要な動作につなげていく。
このような段階的なアプローチこそが、痛みを抱えながらも安全に身体機能を高めていくために重要です。
痛み改善におすすめの運動
痛みを改善するためには、筋力トレーニングだけを行えばよいわけではありません。
痛みの部位や原因、現在の身体機能、年齢、運動経験、日常生活での活動量などによって、適した運動は変わります。
特に大切なのは、「痛い場所を直接鍛える」という考え方だけにとらわれないことです。
例えば、膝が痛いからといって膝周囲だけを鍛えるのではなく、股関節や足関節の動き、下肢全体の筋力、バランス能力、歩行などを総合的に確認する必要があります。
腰痛でも、腹筋だけを鍛えるのではなく、体幹・股関節・下肢の機能や全身の活動量まで考えることが重要です。
そのため、痛み改善を目的とした運動では、筋力・柔軟性・身体のコントロール・有酸素能力などをバランスよく高めていくことがポイントになります。
体幹トレーニングで身体を安定させる
体幹は、上半身と下半身をつなぎ、姿勢を安定させながら身体を動かすために重要な役割を担っています。
体幹トレーニングでは、腹筋を大きく動かす運動だけではなく、身体を安定させた状態で手足を動かす能力を高めることが重要です。
例えば、デッドバグやバードドッグ、サイドプランクなどは、体幹の安定性を意識しながら四肢を動かす練習として活用できます。
ただし、体幹が弱いことがすべての腰痛の原因になるわけではありません。
腰痛がある場合でも、痛みの状態によって適した運動は異なります。
最初から強度の高いプランクなどを行うのではなく、呼吸や姿勢を確認しながら、無理なく身体をコントロールできる負荷から始めることが大切です。
また、体幹トレーニングの目的は「お腹を硬くすること」だけではありません。
立つ、歩く、物を持つ、身体をひねるなど、日常生活のさまざまな動作で身体を安定させる能力につなげていくことが重要です。
お尻・下半身の筋力を高める
下半身は、立つ・歩く・階段を上る・しゃがむなど、多くの日常動作に関係しています。
特に、お尻や太ももの筋肉は、身体を支えたり、股関節や膝関節を動かしたりするために重要です。
代表的な運動としては、スクワット、ヒップリフト、ランジ、椅子からの立ち上がりなどがあります。
ただし、痛みがある場合には、いきなり深いスクワットや負荷の大きなランジを行う必要はありません。
例えば膝痛がある場合には、まず椅子からの立ち上がりなど、負荷や動作範囲を調整しやすい運動から始める方法があります。
また、股関節周囲の筋力が低下している場合には、ヒップリフトや股関節外転運動などを取り入れることもできます。
重要なのは、「何の筋肉を鍛えるか」だけではなく、「その筋肉を実際の動作で使えるか」という視点です。
筋力が向上したら、徐々に立ち上がり、階段、歩行、スクワットなど、実際の生活に近い動作へつなげていきます。
肩甲骨・股関節などの動きを改善する
痛みがある場合、筋力だけでなく関節の動きにも注目する必要があります。
例えば、肩周囲の痛みがある場合には、肩関節だけでなく、肩甲骨や胸椎の動きが十分か確認することが重要です。
肩甲骨が適切に動くことで、腕を上げる、物を取るなどの動作をスムーズに行いやすくなります。
同様に、股関節の動きが制限されている場合には、歩行やしゃがむ動作などで膝や腰など他の部位に負担がかかる可能性があります。
そのため、必要に応じて胸椎の回旋運動、肩甲骨の運動、股関節のストレッチやモビリティエクササイズなどを取り入れます。
ただし、「身体は柔らかければ柔らかいほど良い」というわけではありません。
重要なのは、日常生活や運動で必要な範囲の可動性を確保し、その範囲を自分でコントロールできることです。
柔軟性を高めるだけでなく、改善した可動域を筋力トレーニングや動作練習の中で使えるようにすることが大切です。
ウォーキングなどで全身の活動量を高める
痛みがあると、身体を動かす機会が減少しやすくなります。
しかし、必要以上に活動量が低下すると、筋力や持久力、心肺機能などが低下し、さらに身体を動かしにくくなる可能性があります。
そこで、症状に合わせてウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることも有効です。
ウォーキングは特別な器具を必要とせず、日常生活にも取り入れやすい運動です。
最初から長距離を歩く必要はありません。
例えば、短時間の歩行から始めて、痛みや疲労の反応を確認しながら、時間や距離、頻度を少しずつ増やしていきます。
また、運動としてのウォーキングだけでなく、買い物や通勤、散歩など、日常生活の中で身体を動かす機会を増やすことも重要です。
症状に合わせて有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせる
痛み改善では、筋力トレーニングか有酸素運動のどちらか一方だけに限定する必要はありません。
筋力トレーニングでは、筋力や筋持久力、身体を支える能力を高めます。
一方、有酸素運動では、心肺機能や持久力、全身の活動量を高めることができます。
そのため、筋力トレーニング+有酸素運動+日常生活での活動量を組み合わせることが、身体機能を総合的に高めるうえで重要です。
例えば、週に数回の筋力トレーニングを行い、それ以外の日にはウォーキングなどを取り入れる方法があります。
ただし、すべての人に同じ運動量が適しているわけではありません。
痛みが強い人、手術後の人、運動習慣がほとんどない人、持病がある人では、必要な運動内容や負荷は大きく異なります。
だからこそ、痛み改善の運動では、「どの運動が一番おすすめか」よりも、「自分の身体には何が必要なのか」を考えることが重要です。
体幹・下半身の筋力、関節の可動性、身体のコントロール、持久力、活動量などを総合的に評価し、現在できる運動から始めて段階的にレベルアップしていく。
このような方法で運動を継続することが、痛みを抱えながらも身体機能を高め、日常生活や趣味、運動などの活動を取り戻していくための重要なポイントになります。
「痛いから動かない」が身体に与える影響
痛みがあると、「これ以上悪くしないために、できるだけ動かないほうがいい」と考えてしまうのは自然なことです。
実際に、急性の怪我や手術直後など、身体を保護するために一定期間の安静や活動制限が必要になるケースもあります。
しかし、痛みがあるという理由だけで長期間にわたって身体を動かさない状態を続けることは、必ずしも身体にとって良いとは限りません。
活動量が大きく低下すると、筋力や体力、関節の動き、バランス能力などが低下し、結果的に以前より身体を動かしにくくなることがあります。
さらに、「動くと痛い」という経験を繰り返すことで、身体だけでなく心理的にも動くことへの不安が強くなり、さらに活動を避けてしまう場合があります。
そのため、痛み改善では「完全に動かさない」ことと「痛みを我慢して無理に動く」ことのどちらか一方ではなく、現在の症状に合わせて安全にできる活動を維持し、少しずつ身体機能を回復させていくことが重要です。
筋力や体力が低下しやすくなる
身体を動かす機会が減ると、筋肉を使う機会も少なくなります。
例えば、膝が痛くて歩く時間が減った場合、下肢の筋肉を使う機会が減少します。
腰痛によって外出を控えるようになれば、歩行量が減り、全身の持久力も低下しやすくなります。
筋力が低下すると、立ち上がる、階段を上る、歩く、物を持つといった日常動作が以前より大変になります。
さらに、体力が低下すると少し動いただけでも疲れやすくなり、「疲れるから動かない」という状態につながることがあります。
つまり、
痛み → 活動量低下 → 筋力・体力低下 → 動くことが大変になる → さらに活動量が低下する
という悪循環が起こる可能性があります。
もちろん、急性期の怪我などでは無理な運動が状態を悪化させる場合があります。
そのため、必要な保護期間を過ぎた後は、身体の状態に合わせて徐々に活動を再開することが重要です。
関節を動かす機会が減る
身体を動かさないことで影響を受けるのは筋肉だけではありません。
歩く、しゃがむ、腕を上げる、身体をひねるといった日常動作では、さまざまな関節が動いています。
しかし、痛みを避けるために動作そのものを減らしてしまうと、関節を本来の範囲で動かす機会も少なくなります。
例えば、膝が痛くて椅子に座っている時間が増えれば、立ち上がったり歩いたりする機会が減ります。
肩が痛くて腕を動かさなくなると、肩関節をさまざまな方向へ動かす機会が減少します。
その結果、身体を動かすことに対する苦手意識が強くなったり、動作範囲が狭くなったりすることがあります。
ただし、痛みがある関節を無理に大きく動かせばよいわけではありません。
重要なのは、現在の症状に合わせて、安全に動かせる範囲を確認し、その範囲で少しずつ身体を動かしていくことです。
日常生活の活動量が低下する
痛みが続くと、運動だけでなく日常生活そのものの活動量も減少しやすくなります。
例えば、買い物を控える、階段を使わなくなる、外出しなくなる、家事を減らすなど、無意識のうちに身体を使う場面が少なくなることがあります。
一つひとつは小さな変化でも、長期間続けば一日の総活動量は大きく変わります。
特に重要なのは、「運動しているかどうか」だけでなく、一日の中でどれくらい身体を動かしているかという視点です。
週に1回トレーニングをしていても、それ以外の日にほとんど動かないのであれば、十分な活動量を確保できていない可能性があります。
そのため、痛み改善ではトレーニングだけでなく、短時間の散歩、家事、買い物、通勤など、無理なくできる日常活動を維持することも大切です。
「動くと痛い」という不安が強くなることがある
痛みが続くと、「動いたらもっと悪くなるのではないか」「この動作はやってはいけないのではないか」という不安が生じることがあります。
そして、一度痛みを経験した動作を避けるようになると、その動作を行う機会がさらに減ってしまいます。
例えば、腰痛を経験してから「腰を曲げるのは危険」と考えて、床にある物を拾う動作を極端に避けるようになるケースがあります。
もちろん、急性期などでは特定の動作を一時的に制限する必要がある場合もあります。
しかし、必要以上に動作を避け続けると、身体を動かす自信が失われ、実際には可能な動作まで制限してしまうことがあります。
そのため、症状を確認しながら、「安全にできる動作」を一つずつ増やしていくことが重要です。
できる動作が増えることで、「少し動いても大丈夫だった」という経験を積み重ねることができ、活動範囲を広げるきっかけになります。
結果として身体機能がさらに低下する悪循環につながる
ここまで説明したように、痛みを避けて動かない状態が長く続くと、筋力、体力、関節の動き、バランス能力、日常生活での活動量などが低下する可能性があります。
さらに身体機能が低下すると、以前は問題なくできていた動作でも負担を感じやすくなり、再び痛みや疲労を感じることがあります。
すると、
痛いから動かない
↓
筋力・体力・可動性などが低下する
↓
身体を動かすことがさらに大変になる
↓
活動量がさらに減る
↓
「動くと痛い」という不安も強くなる
↓
さらに動かなくなる
という悪循環につながる可能性があります。
だからこそ、痛み改善では「できるだけ安静にする」ことだけを目標にするのではなく、現在の身体の状態に合わせて、できる範囲の活動を維持・拡大していくことが重要です。
ただし、これは「痛みを我慢して運動しましょう」という意味ではありません。
強い痛みや症状の悪化がある場合には、運動内容や負荷を見直す必要があります。
特に、怪我や手術後、しびれや筋力低下を伴う場合などは、自己判断で運動を進めず、医療機関などで適切な評価を受けることが大切です。
痛み改善において重要なのは、安静か運動かという二択ではなく、「今の身体にとって適切な活動量はどの程度なのか」を考えることです。
身体を守りながら必要な活動を維持し、筋力や体力を少しずつ高め、できる動作を段階的に増やしていく。
この積み重ねが、痛みを抱えながらも日常生活を取り戻し、身体機能を長期的に維持していくための重要な考え方になります。
痛みがある人の筋トレで注意すること
痛み改善を目的として筋トレを行う場合、ただ運動量を増やせばよいわけではありません。
特に痛みがある状態では、運動の種類・強度・回数・頻度・休息の取り方などを身体の状態に合わせて調整する必要があります。
筋力トレーニングは、適切に行えば筋力や筋持久力、身体機能の向上に役立ちます。
一方で、現在の身体の状態に対して負荷が強すぎたり、急激に運動量を増やしたりすると、症状が一時的に悪化することがあります。
そのため、「痛みがあるけれど頑張って鍛える」という考え方ではなく、身体の反応を確認しながら、無理なく段階的に負荷を高めることが重要です。
痛みを我慢して無理に負荷を上げない
筋トレでは、「きついほど効果がある」「痛みを我慢してでも続けることが大切」と考えてしまう方がいます。
しかし、痛み改善を目的とする場合、痛みを強く我慢しながら高負荷のトレーニングを続けることが適切とは限りません。
例えば、膝に痛みがある状態で深いスクワットを繰り返した結果、運動後に痛みが大きく増えてしまうのであれば、重量だけでなく、しゃがむ深さ、回数、テンポ、フォームなどを見直す必要があります。
大切なのは、「できる最大負荷」ではなく「現在の身体が適応できる負荷」を設定することです。
自重から始め、必要に応じて軽い負荷を加え、身体の反応を確認しながら徐々に強度を高めていきます。
また、運動中の痛みだけを見るのではなく、運動後や翌日の状態も確認することが重要です。
急激に運動量を増やさない
痛みが少し改善すると、「早く治したい」という気持ちから、急にトレーニング量を増やしてしまうことがあります。
例えば、これまでほとんど運動していなかった人が、いきなり毎日筋トレを始めたり、ウォーキングの時間を大幅に増やしたりするケースです。
身体には、運動による刺激に適応するための時間が必要です。
そのため、トレーニングの頻度・時間・回数・重量などを一度に大きく増やさないことが大切です。
例えば、週1回から始めたのであれば、身体の反応を確認しながら頻度を増やす。
10回で行っていた運動を急に30回にするのではなく、少しずつ回数を調整するなど、段階的に進めていきます。
特に、運動後から翌日にかけて痛みや腫れ、強い疲労感などが増える場合には、運動量が現在の身体に対して多すぎる可能性があります。
「前回できたから、今回はもっとやる」という判断だけではなく、その日の体調や症状を含めて負荷を調整することが重要です。
痛みの場所だけを鍛えればよいとは限らない
痛みがあると、「痛い場所の筋肉が弱いから鍛えればいい」と考えがちです。
しかし、身体はそれぞれの部位が独立して動いているわけではありません。
例えば、膝に痛みがある場合でも、股関節や足関節の動き、下肢全体の筋力、バランス能力、歩行やスクワットなどの動作が関係していることがあります。
肩の痛みでも、肩関節だけでなく、肩甲骨や胸椎の動き、上半身の姿勢、腕を動かす際の身体の使い方などを確認する必要があります。
腰痛の場合も、腰だけに問題があるとは限りません。
股関節や胸椎の可動性、体幹のコントロール、下肢の筋力、日常生活での活動量など、複数の要素を考える必要があります。
そのため、「痛い場所=鍛える場所」と決めつけないことが大切です。
必要な部位を評価し、筋力だけでなく可動性やバランス、動作能力なども含めてトレーニング内容を組み立てることが重要になります。
痛みの種類や症状の変化を確認する
筋トレを行う際には、「痛みがあるかどうか」だけではなく、痛みの性質や症状がどのように変化しているのかを確認することが大切です。
例えば、運動中に軽い違和感が出ても、運動を終えると落ち着き、その後の日常生活に影響がない場合があります。
一方で、運動を続けるほど痛みが強くなる、運動後も長時間症状が続く、翌日の痛みが明らかに悪化する、腫れが増えるなどの場合には、運動内容を見直す必要があります。
また、痛みの場所が変わったり、しびれや力の入りにくさなど新しい症状が出たりした場合にも注意が必要です。
トレーニングでは、単純に「痛い・痛くない」の二択で判断するのではなく、
どの動作で痛むのか
どの程度の負荷で症状が出るのか
運動後にどう変化するのか
翌日の生活に影響していないか
というように、症状の経過を確認することが重要です。
痛みの記録をつけておくと、自分に合った運動量を判断する材料にもなります。
強い痛みやしびれ、筋力低下がある場合は医療機関への相談を優先する
すべての痛みに対して筋トレを行えばよいわけではありません。
強い痛みが突然発生した場合や、大きな外傷後に症状が出ている場合、明らかな腫れや変形がある場合などは、まず医療機関で状態を確認することが重要です。
また、しびれが強くなっている、手足に力が入りにくくなっている、感覚の異常が進行しているなどの症状がある場合も、自己判断でトレーニングを継続せず、医療機関への相談を優先してください。
発熱など全身症状を伴う痛みや、安静にしていても強くなる痛みなどについても、単純な筋力不足として判断しないことが大切です。
筋トレは多くの人にとって身体機能を高める有効な手段ですが、「筋トレをすること」そのものが目的ではありません。
痛みの原因や身体の状態を確認し、安全に行える運動を選択し、適切な負荷で継続することが重要です。
特に痛みが長期間続いている方や、運動すると症状が悪化する方は、自己流で種目を増やすよりも、身体の状態を評価してもらい、現在の状態に適した運動方法を確認することをおすすめします。
痛み改善の筋トレで大切なのは、「頑張って鍛えること」ではなく、「身体の反応を見ながら適切な刺激を与えること」です。
無理なく続けられる負荷から始め、少しずつ身体機能を高めていくことで、筋力だけでなく日常生活で動ける身体をつくっていくことができます。
理学療法士が考える「痛みを改善する運動」の考え方
痛みがあると、「痛みが完全になくなってから運動を始めたい」と考える方は少なくありません。
もちろん、強い痛みがある場合や急性の怪我、手術直後など、身体を保護する必要がある時期には、運動の種類や量を制限することが重要です。
しかし、すべての痛みに対して「痛みがゼロになるまで安静にする」という考え方が適しているわけではありません。
痛みの状態を確認しながら、現在できる活動を維持し、必要な運動を少しずつ取り入れていくことが、身体機能の回復につながる場合があります。
理学療法士が痛みのある方に運動を提案するときには、単純に「この筋肉を鍛えましょう」と考えるのではなく、痛みが出ている背景や身体全体の状態を評価し、その人にとって必要な機能を段階的に改善していくことを重視します。
「痛みをゼロにしてから運動」ではなく状態に合わせて活動する
痛み改善では、「痛みが完全になくなってから運動する」のではなく、症状の程度や原因、身体機能を確認しながら、安全にできる範囲の活動を維持・拡大していくことが重要です。
例えば、腰痛があるからといって一日中安静にするのではなく、症状に合わせて短時間の歩行や軽い体幹運動などから始める方法があります。
膝痛の場合も、痛みがあるからすべての下肢運動を中止するのではなく、椅子からの立ち上がりなど、負荷を調整しやすい動作から取り組める場合があります。
ここで重要なのは、「痛みを我慢して運動する」という意味ではないことです。
運動によって症状が大きく悪化する場合には、種目や負荷、回数、頻度などを調整する必要があります。
つまり、痛みの有無だけで運動を「できる・できない」と判断するのではなく、現在の身体の状態に合わせて、どの程度の活動なら適切なのかを考えることが重要です。
痛みの原因を身体全体から評価する
痛みがあると、どうしても「痛い場所」に意識が集中します。
しかし、痛みが出ている場所と、身体の機能的な問題が存在する場所が必ずしも一致するとは限りません。
例えば、膝が痛い人でも、股関節の筋力や足関節の可動性、片脚で身体を支える能力などに問題がある場合があります。
肩の痛みであれば、肩関節だけでなく、肩甲骨や胸椎の動き、上半身の姿勢、腕を動かす際の身体の使い方なども関係する可能性があります。
腰痛についても、腰だけを見るのではなく、股関節や胸椎の動き、体幹のコントロール、下肢の筋力、日常生活での活動量などを確認することが重要です。
もちろん、これらの要素に問題があるからといって、それが必ず痛みの原因だと断定できるわけではありません。
重要なのは、痛みを一つの部位だけの問題として捉えず、身体全体の状態と実際の動作を確認することです。
筋力・可動性・姿勢・動作を総合的に確認する
身体を評価するときには、筋力だけを測定して終わりではありません。
例えば、筋力が十分にあっても、関節の動きが制限されていたり、身体を適切なタイミングでコントロールできなかったりすれば、日常生活や運動で身体を効率的に使えない場合があります。
そのため、理学療法士が運動を考える際には、
- 筋力
- 筋持久力
- 関節可動域
- 柔軟性
- バランス能力
- 姿勢
- 身体のコントロール
- 歩行やスクワットなどの基本動作
- 日常生活での活動量
などを総合的に確認します。
例えば、スクワットで膝が痛い人の場合、「太ももの筋力が弱いから鍛える」という一つの視点だけでは不十分です。
足首が十分に動いているか、股関節を適切に使えているか、左右に体重が偏っていないか、どの深さで痛みが出るのかなどを確認することで、より適切な運動方法を考えられます。
つまり、評価が変われば、選択するトレーニングも変わります。
痛みを改善するだけでなく「痛みにくく動ける身体」を目指す
痛み改善で最終的に目指したいのは、「痛みがない状態」だけではありません。
もちろん、痛みを軽減することは重要です。
しかし、痛みがなくなったとしても、筋力や体力が低下したまま、身体を動かすことに不安があるままでは、以前と同じ生活に戻ることが難しい場合があります。
そこで重要になるのが、「痛みにくく動ける身体」をつくることです。
例えば、膝痛であれば、痛みを軽減するだけでなく、階段を上る、しゃがむ、歩く、片脚で身体を支えるといった動作を行える身体機能を高めていきます。
腰痛であれば、腰の痛みを軽減するだけでなく、長時間座る、立つ、歩く、物を持つなど、生活で必要となる動作を無理なく行えることを目指します。
運動をする人であれば、競技に必要な走る、跳ぶ、切り返すなどの動作まで段階的に戻していくことが重要です。
そのためには、筋力トレーニングだけでなく、有酸素運動、可動性エクササイズ、バランストレーニング、動作練習などを組み合わせる必要があります。
さらに、運動だけでなく、睡眠、体重管理、仕事中の姿勢、日常生活での活動量なども含めて考えることが大切です。
理学療法士が考える「痛みを改善する運動」とは、単に痛みを感じている部位を鍛えることではありません。
現在の身体の状態を評価し、できる活動を維持しながら、必要な機能を一つずつ高め、最終的に日常生活や趣味、運動などを無理なく行える身体をつくることです。
「痛みをなくすために運動する」から一歩進んで、「痛みがあっても適切に動ける」「痛みが改善した後も活動を続けられる」「将来的にも身体機能を維持できる」ことを目指す。
これが、痛み改善において運動を取り入れる際の重要な考え方です。
FAQ|痛み改善と筋トレに関するよくある質問
Q痛みがあっても筋トレをした方がいいですか?
A痛みがあるからといって、必ずしも筋トレを中止する必要はありません。
ただし、痛みの原因や程度、身体の状態によって適切な運動は異なります。
強い痛みがある場合や、怪我・手術後、しびれや筋力低下などを伴う場合には、まず医療機関などで状態を確認することが重要です。
運動が可能な状態であれば、低負荷の運動から始め、症状の変化を確認しながら徐々に負荷を高めていきます。
重要なのは「痛みを我慢して鍛える」ことではなく、現在の身体に適した運動量を見つけることです。
Q筋トレをすると痛みは改善しますか?
A筋トレによって痛みが改善する可能性はありますが、筋トレをすれば必ず痛みがなくなるわけではありません。
痛みには筋力だけでなく、関節の状態、可動性、神経、身体の使い方、活動量、睡眠や心理的要因など、さまざまな要素が関係します。
筋トレによって筋力や筋持久力、身体機能を高めることで、日常生活や運動を行いやすくなることが期待できます。
そのため、「痛い場所を鍛えれば治る」と考えるのではなく、痛みが生じている背景を評価し、その人に必要な運動を選択することが重要です。
Q腰痛には筋トレが必要ですか?
A腰痛の改善や身体機能の向上を目的として、筋力トレーニングを取り入れることは有効な選択肢の一つです。
ただし、すべての腰痛に同じトレーニングが適しているわけではありません。
体幹の筋力だけでなく、股関節の可動性、下肢の筋力、身体のコントロール、持久力、日常生活での活動量などを確認することが重要です。
例えば、デッドバグやバードドッグ、ヒップリフトなど、負荷を調整しやすい運動から始め、身体の状態に合わせてスクワットや物を持つ動作などへ発展させる方法があります。
Q膝痛がある場合も筋トレをしていいですか?
A膝痛がある場合でも、状態によっては筋力トレーニングを行うことができます。
特に、太ももやお尻など下肢の筋力を高めることは、立ち上がりや歩行、階段などの日常動作を行うための身体機能を高めるうえで重要です。
ただし、膝痛があるからといって、必ずスクワットをすればよいわけではありません。
痛みが出る動作や角度、可動域、筋力、股関節・足関節の状態、歩行などを確認し、必要に応じて椅子からの立ち上がりなど負荷を調整しやすい運動から始めます。
運動後に痛みや腫れが大きく悪化する場合は、負荷や運動方法を見直す必要があります。
Q肩こりや肩の痛みに筋トレは効果がありますか?
A肩こりや肩の痛みに対して、筋力トレーニングが役立つ場合があります。
肩周囲では、肩関節だけでなく、肩甲骨や胸椎などが連動して動いています。
そのため、肩周囲の筋力だけでなく、肩甲骨を適切に動かす能力や胸椎の可動性なども確認することが重要です。
例えば、ローイング系の運動や肩甲骨をコントロールする運動、姿勢を維持するための体幹トレーニングなどを状態に応じて取り入れます。
ただし、肩の痛みにはさまざまな原因があるため、痛みが強い場合や腕が上がらない、急激に症状が悪化した場合などは、筋トレを始める前に医療機関へ相談することをおすすめします。
Q痛みがあるときは安静にした方がいいですか?
A必ずしも長期間の安静が必要とは限りません。
急性の怪我や手術直後など、身体を保護する必要がある場合には活動を制限することがあります。
一方で、必要以上に身体を動かさない状態が長く続くと、筋力や体力、関節を動かす機会が減少し、身体機能が低下する可能性があります。
そのため、症状に合わせて安全にできる範囲で身体を動かし、徐々に活動量を戻していくことが重要です。
「安静か運動か」という二択ではなく、今の身体に適した活動量を考えることがポイントです。
Q痛みを我慢して運動するほど効果がありますか?
Aいいえ。痛みを強く我慢するほどトレーニング効果が高くなるわけではありません。
痛み改善を目的とする場合は、運動中だけでなく、運動後や翌日の症状も確認しながら負荷を調整することが重要です。
運動後に痛みが大幅に悪化したり、腫れが増えたり、日常生活に支障が出たりする場合には、運動量が適切でない可能性があります。
「頑張ること」よりも、身体が適応できる範囲で継続することを優先しましょう。
Q筋力がつけば痛みは再発しにくくなりますか?
A筋力を高めることは、身体機能を維持・向上させるうえで重要ですが、筋力だけで再発を完全に防げるわけではありません。
再発予防には、筋力だけでなく、筋持久力、関節可動域、バランス能力、身体のコントロール、日常生活での活動量なども関係します。
さらに、睡眠、体重管理、仕事や運動での身体の使い方なども考える必要があります。
そのため、痛みが改善した後も運動習慣を維持し、「痛みがなくなったら終了」ではなく、「痛みにくく動ける身体を維持する」ことを目指すことが大切です。
Qパーソナルジムで痛み改善のトレーニングはできますか?
Aできます。ただし、一般的な「筋肉を鍛えるだけのトレーニング」とは考え方が異なります。
痛み改善を目的とする場合は、まず現在の痛みや身体機能を確認し、その人に必要な運動を選択することが重要です。
例えば、筋力・関節可動域・バランス・姿勢・動作などを確認したうえで、体幹トレーニング、下半身の筋力トレーニング、肩甲骨や股関節の運動、ウォーキングなどを組み合わせます。
また、同じ腰痛や膝痛でも、身体の状態や生活環境によって必要な運動は異なります。
理学療法士など身体の評価に関する専門知識を持つスタッフがいるパーソナルジムであれば、「どこを鍛えるか」だけでなく、「なぜその運動が必要なのか」「どの程度の負荷で行うのか」まで考えたトレーニングを受けられる点がメリットです。
ただし、医療機関での診断や治療が必要な状態について、パーソナルジムだけで対応することはできません。
強い痛みや急激な症状の変化、しびれ、筋力低下などがある場合には、まず医療機関への相談を優先することが大切です。
まとめ
痛み改善に筋トレは重要ですが、すべての痛みの原因が筋力不足というわけではない
痛みを改善するうえで筋力トレーニングは重要な手段の一つです。
筋力や筋持久力が向上することで、日常生活や運動に必要な身体機能を高め、活動量の低下による体力低下を防ぐことにもつながります。
ただし、「痛みがある=筋力不足が原因」と考えるのは適切ではありません。
痛みには、関節の可動性、柔軟性、姿勢、身体の動かし方、運動不足、過去の怪我や手術、活動量など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、痛みのある部位だけを鍛えるのではなく、身体全体の状態を評価することが重要です。
痛みの状態に合わせて、筋力・柔軟性・身体の動かし方・活動量を総合的に改善することが大切
痛み改善では、筋力だけを高めればよいわけではありません。
筋力が不足している部分には筋力トレーニングを行い、関節の動きに問題があれば可動性を改善し、身体の使い方に課題があれば動作練習を取り入れます。
また、運動不足によって体力や活動量が低下している場合には、ウォーキングなどの有酸素運動や日常生活での活動量を少しずつ増やすことも重要です。
つまり、「何の運動をするか」だけではなく、「現在の身体に何が必要なのか」を評価して運動を選択することが大切です。
痛みを我慢して運動するのではなく、適切な強度から段階的に運動量を増やす
痛み改善のために運動を始める場合、「痛くても我慢して続ければ強くなる」と考える必要はありません。
重要なのは、現在の身体の状態に合った強度から始め、症状の変化を確認しながら少しずつ負荷や運動量を増やしていくことです。
運動中だけでなく、運動後や翌日の痛み・疲労感なども確認しながら調整することで、無理なく継続しやすくなります。
一方で、強い痛みや急激な症状の悪化、しびれや筋力低下などがある場合には、運動を優先せず医療機関への相談が必要です。
最終的には「痛みを取る」だけでなく、日常生活や運動を安心して行える身体機能を取り戻すことを目指す
痛み改善の最終的な目的は、単純に「痛みをゼロにすること」だけではありません。
買い物、階段、仕事、家事、ウォーキング、運動など、自分が必要としている活動を安心して行える身体機能を取り戻すことが重要です。
そのためには、痛みの軽減だけでなく、筋力・柔軟性・バランス能力・身体のコントロール・体力・活動量などを総合的に改善していく必要があります。
「痛いから動かない」のではなく、「今の身体にできる運動」から始めて、少しずつできることを増やしていく。
これが、痛みを繰り返しにくく、長期的に動ける身体をつくるための重要な考え方です。
Physio Conditioning Lab.では、理学療法士が身体の状態や痛みの特徴を評価したうえで、筋力・可動性・動作・活動量などを総合的に考慮した運動プログラムをご提案しています。
「痛みがあるけれど運動した方がいいのかわからない」「筋トレを始めたいけれど悪化しないか不安」という方も、お気軽にご相談ください。
Physio Conditioning Lab.では、理学療法士が医学的根拠に基づき、
根本改善プログラムを提供しています。
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